1歳になったばかりの息子を連れて
久しぶりの故郷への帰省。
「現在の外の気温は6℃・・・、
失礼しましたマイナス6℃です。皆様、体調に気をつけてお過ごし下さい」
という飛行機のアナウンスに恐々としながら
降り立った雪国の空気は、
目が覚めるようなキーンとした冷たさ。
すべてが凍ってしまったような景色を眺めていると、
ああ帰ってきたんだなあとしみじみ思う。
山も木も道も真っ白で、
こんな景色を見たのは久々なのに
冷たい空気を吸うと
まるでずっとここにいたみたいに感じてしまうのが、少し可笑しい。
息子は眉間にしわを寄せながら、
初めての世界を眺め・・・寝てしまった。
彼にとって、ここは白い国。
あんよができるようになったばかりの
息子が雪の上を歩く。
ペンギンのように上手にぺたぺたと。
ずっとそこに住んでいたように。
あっという間に白い国の住人になってしまった。
飛行機が遅れに遅れて
やっと関西に戻ってきた翌朝、
奈良に雪が積もった。
息子は初めて雪を見たみたいに、
いつまでも外を眺めていた。
(テライ)