風の便り
2020.07.17 日々

彫刻家 はしもとみおさん

一番生命力がある時ですね

 

というのは、彫刻家はしもとみおさんが、どうやって完成時を決めるのですか?と聞かれたときの答え。
思わず、おお、そうなんやと思ってしまう。

 

はしおとみおさんは、様々ないきものを彫られる彫刻家。
犬や猫だけでも何十種類。
そのほか、さる、かめ、リス、ブタ、クマ、ねずみ、うりぼう、カメレオン・・・。
最近は鳥羽水族館の依頼で大きなジュゴン! まで制作される。
彫刻だから、彫ろうと思えばいつまでも彫れるかもしれない。
でも、一番生命力もある時に、彫り終える。

私も以前、展覧会に行かせていただいたことがある。
会場いっぱいに、たくさんのいきものがひしめきあっている。
生命力の集まりだ。
展覧会というより、誰もがいきものと触れ合える空間。
ゴロンと寝そべっているワンちゃんをなでなでしたり、大きなクマの子と見つめ合ったり、
おどけた表情の子に思わず笑ったり。
もはや、動物園か、サファリパークのよう。

 

今回弊社のループ舎から出版されたのが、『気になってるん! 02 はしもとみおさん』だ。
スタッフ服部が中心となり、三重県のはしもとさんのアトリエにお邪魔した。
そのときのインタビューや、撮らせていただいた写真をまとめたものが本書。
はしもとさんの大切にしていることや、考え方が随所に感じられて、とても面白い。
アトリエも、作品が生まれる場所として興味深い。
詳細は本に譲るとして、特に印象に残ったことをひとつ。

 

はしもとさんの経験上、ペットを見送った後、辛くて、次の子を迎え入れられなかったり、ということはありませんか? という問いに、

 

ないですね。いつも死と向き合っているので。ペットロスっていうのは私にはないです。
(中略)
もちろん寂しいですけどね、先代の犬を思い出す時は。でも感謝しかないというか、一緒に頑張って生きてくれたというか。悲しいというより、ありがとうという気持ちです。
(中略)
この子もこの子の人生を全うしてもらってなんぼなので。この子が今幸せならそれで。

と答えられている。

 

 

ペットロスが、ないんだ、というところにまず驚いた。
私なら、喪失感でいっぱいになってしまうかも。
でも、しばらくしてから、改めて気づいた。
はしもとさんはペットロスがない、と言いきれるくらい、今、その子と向き合ってる。
自分もその子も人生を全うできるように。
愛情たっぷりに。
だから、ありがとうとう気持ちでいっぱいになれるんだろう。

 

常に死と向き合っているからこそ、彫刻は一番生命力のあるところで完成させられるんだろうな。
素材は「木」かもしれないけど、私たちがその子たちを目の前にしたとき、触ったとき、あたたかさみたいなものを感じるのは、はしもとさんが注いだ愛情をどこかで感じるからかもしれない。

感じ方や考え方は人それぞれでいいと思う。
でも私は少しでもはしもとさんのように、いきものや、植物と触れ合うときに、「今」を大切にして向き合っていきたいと思った。

そうだ、今日もひなたと遊ぼう。
ひなただって、私だって、今日という日は今しかないんだ!


▲イメージ写真。いつぞやのひなた。

 

またはしもとさんの作品に触れられるときがあれば、ぜひとも触れたいと思う。
みなさんももし機会があれば、ぜひ会いに行ってみてください。
五感が刺激されること、間違いなしです。

 

はしもとみお
彫刻家
楠から、様々な動物たちの肖像彫刻をつくる。
世界各国からのオーダーメイドの動物彫刻ほか、国内美術館や博物館での展覧会も開催。
さわれる彫刻、さわりたくなる彫刻を目指して、三重県にアトリエを構え、日々制作中。
インスタグラム→ www.instagram.com/hashimotomio/

出典 『気になってるん! 02 はしもとみおさん』ループ舎 

 

(ミヤガワ)


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