風の便り
2020.12.17 おはなし

根っこの思い vol.2 -たどり着いたのはシンプルな洋服作り-

風の栖ができてから20年。
 
「この空間に気持ちいい風が吹いてほしい」という思いから、店主 村上はお店を開きました。
最初はセレクトした洋服、雑貨やカフェからはじめ、やがてNAOTの靴が中心になってきました。NAOTは5年前に店舗として独立。それと同時に、オリジナルの洋服を本格的に作り出して、少しずつではありますが新しい風の栖のことを知ってもらえる機会も増えてきました。
 
そこでこのタイミングでもう一度、基本に立ち返りたい。
風の栖として大切にしたいことや伝えていきたいことを再確認しよう。
そんな動機から始まったのがこの新連載、作り手 村上が語る「根っこの思い」です。
 
第2回目は、風の栖の洋服にまつわるお話です。
 

 

***
 
 
洋服は昔からシンプルなものが好きです。
派手な装飾がなく、動きやすいもの。
昔は今よりスリムな体型だったので、それなりに短いスカートにタイトなトップスも着ていました。(今となれば、いくらでも言えますね..笑)
 

 
チェック柄も流行っていた時代。本場イギリスのタータンチェックの巻きスカートは当時の私にとって宝物でした。
後に娘たちのスカートに作り変えましたが、良いのもは良い!と学んだ大切な一着になりましたし、素材の良さとカットの美しい、オードリー・ヘップバーンのファションにも憧れました。
 

 
そして、洋服の好みはよりシンプルなものへ。
それは今振り返れば、生活環境が大きかったように思います。
 
子育て時期は、毎日がせわしなく大忙し。
そんな中で着る洋服となると、やっぱり「動きやすいもの」がいいんですね。
肩やひじ、ひざが突っ張らなくて、ゆとりがあるもの。
それでも、動きやすければなんでもいいわけではなくそれなりに「ちゃんと見えること」も大切。
襟元は大きく開きすぎないボートネックなど、ほどよく女性らしいシルエットが好きでした。
“ こんなのあったらいいなぁ “ から生まれた想いがむくむくと湧き上がり、楽しみながら自分や娘たちに合う洋服を作りました。
 

今は風の栖でお客さまへ向けて洋服を作るようになり、今までと環境は大きく変わりましたが、着やすくてシンプルな服作りはあの時のままで、変わりません。

今は季節感も無くなり、麻は一年中着てますし、オーガンジー素材は真冬でも..。
重ね着上手な若者たちの着こなしからも色々ヒントを頂きました。
 
伝統も、季節も、大事にしていきたい。
それも知りながら、日常で風の栖の洋服が、クローゼットに眠っていた大切な洋服や小物と合わせることも出来たらいいなぁと思っています。
合わせてみて、今まで気づかなかった着こなしや自分の魅力を再発見。
もしこれが叶ったら、こんなに嬉しいことはないと思うのです。
 
「新しく買ったもの」はもちろん、「今持っているもの」も大事にしてもらいたい。
そういう気持ちを込めながら、日々届ける1着の重みを感じています。
 

 
年齢問わずの洋服作りは難しくて、そして、やっぱり楽しいです。
これからもワクワクの延長で、若いスタッフの感性に刺激を受けながら洋服作りをしていきたいです。
 
 
最後に、私の祖父の思い出話を。
陶器工場を経営していた祖父は、仕事場では粘土のついた藍染の前掛け姿でしたが、仕事を終えると、角帯をキュッと締めて着物に着替えていました。
そして、銅火鉢の前に正座して座り、鉄瓶でお茶を淹れ、透し彫りの相馬焼きの大きな湯呑みでゆっくりお茶を飲む。
私も正座して、祖父が入れてくれるお茶を飲んでいた遠い昔。
 
そんな日常でのON/OFFの切り替えの格好良さ、子供の私にも伝わっていました。
着る物だけで生き方が表現出来ていたのです。
今日は何を着る?自分がどうありたいか?主役は着る本人ですから。

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(ムラカミ)

 
 

【番外編】 編集後記

今回の話で一番印象深かったのが、村上の祖父の思い出話です。
今はハレの日以外で着物を着る機会はほとんどありませんが、当時の人は日常着として、オフのときも帯をきゅっと締めていたという話は背筋が伸びる思いです。
きっと家の中でも「きちんとする」、その心が自然と染み付いていたのかなと想像します。

着物..とまではいかないですが、風の栖の洋服も、気張らないけれど少しだけきちんとした日常着として馴染んでもらえたら嬉しいですし、仕事や家事、育児をがんばったり楽しむエッセンスになれたらいいなぁと、しみじみ村上と話していました。
 
さて、次回からはいよいよひざっこパンツの誕生秘話を聞きます。お楽しみに!

(マツシタ)

 

 
*他の記事はこちら!
 
vol.1 -祖母から母、そして私へ。- 

 
vol.3 -ひざっこパンツの誕生秘話- 

 


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